バタフライ・エフェクト

  • この映画の感想を、ネタバレをせずに書く、というのは大変に難しい。1つだけネタバレをした上で感想を描くこととする。
  • 現在から過去のある時点に戻る能力を発見する。過去で起こした行動が原因となり、戻ってきたはずの現在がそれまでの現在とはまるで違う状況になっている、というのがこの映画のメインのネタである。
  • 過去に戻る都度変わるアシュトン・カッチャーのメイクが変わっていくのが面白い。虫を飼うのが趣味の少し変わった優等生から始まるのだが、このときは重たい前髪と好き放題に伸ばしたあごひげである。あるときはツルツルテカテカの肌に整ったあごひげになり、あるときは血の気のうせた肌の上に額の生え際を強調するような髪形に変わっていたりする。多少あざといくらいでもあるのだが、めまぐるしく変わる現在の状況をぱっと見ただけでわかるように、という演出としてとても効果があると思った。
  • 現在の状況が変化していくたびに変わっていくのはメイクだけではない。アシュトン・カッチャーはずーっとあたふたしたままなのでメイクくらいしか変わらないが、脇役の演技は実に素晴らしい。トミーの信心の深さはこの映画の最大の笑いどころだし、ケイシーのあったまわりい喋り方は最高だ。
  • 1つだけ説明されていないことがある、と思った。幼少期の主人公はなぜあの絵を書いたのか。絵を書く場面に一度戻っているのだが、絵を描く場面は演出上カットされている。あれは現在に戻った後に主人公が取る行動を描いたもの、と解釈するのが妥当かと思われるが、なぜその絵を描く必要があるのかはかかれていない。あの場面に戻った理由は手のひらに「スティグマ」を残すためであり、絵を描くためではない。だから深く考える必要はないのかもしれないが・・・。もう一度観て確かめてみようと思う。
  • このネタで三谷幸喜にコメディーを作って欲しいなと思った。時間と空間を行き来する脚本を書かせたら日本でこの人の右に出る人はいないだろう。